踊り場で踊れない

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「なに?あなた、ふざけすぎじゃない?」 普段から妙に気に食わないから、半分は八つ当たりだった。 美央とは違う方向性で、こちらも何かと話題が絶えないからだ。 キツネ顔と呼ばれる、うさんくさい顔とか。 それから霊感が強くて様々な怪異を体験してるとか解決してるとか。 しかもそれがきっかけで映画出演までしてるとか。 いいなあ、そんな特別な人生。 生きてて退屈しないだろうな。 あたしは美央の次くらいに真乃くんがうらやましかった。 うん、だから妬んでた、逆恨みしてた、勝手にイラついてた。 「うとましい相手が死に損なって残念ですか?真央さん」 真乃くんが学生服のポケットから何かを取り出してきた。 そして、まるでインタビューする記者のマイクみたいに、あたしへと 差し出してきた。 それは、持ち手の付いた手鏡だった。
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