14人が本棚に入れています
本棚に追加
連れて行かれたのは、柏木くんの自宅だった。
共働きらしい柏木くんの両親は家を空けていることが多いらしく、お家はあたしと彼のふたりきり。そういうことをするにはうってつけの環境だった。
柏木くんは、自室にあたしを招き入れた。柏木くんの部屋は、うちとは違って、漫画やゲーム、お菓子などの娯楽品がたくさんあってびっくりした。
「柏木くんのお家は、お金持ちなの?」
「いや? べつに、一般的な水準だと思うけど」
「そっかー」
「どうしてそう思ったの?」
「うちは、漫画とかゲームとか、なかったから」
柏木くんはベッドに腰掛けながら、あたしを隣に座らせた。あくまでも自然に距離を縮める柏木くんに、手慣れているな、と思った。
「有川さんのおうちって、家計きびしかったの?」
「ううん、たぶん、お金持ちだった」
「ならおうちの人が、そういう娯楽に厳しかったのかな」
こっち向いて、と顎を掴まれる。
ああ、この人、べつにあたしの話なんか本当はどうでもよくって、この先に待っている悦楽だけを求めているんだ。
うん、都合がいい。
「柏木くん、すきなようにしていいからね?」
「ふつうはさ、『優しくしてほしい』って言うところじゃないの?」
「あたし、オカシイのかな」
「普通ではないよね。でもおれ、そういうところ、結構気に入ったかも」
制服越しに肌が触れ合う。余裕そうな柏木くんが獣になった瞬間、貪るようなキスをされて、唾液と唾液が絡まる。
シーツに沈み、柏木くんはあまく微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!