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そう、ためらいながらたずねます。太一さんを助けたくて、ここまでいさんでやって来ましたが……少し、出しゃばってしまったのではないでしょうか? 太一さんに、はずかしい思いをさせてしまったのではないでしょうか? 太一さんに、ごめいわくをかけてしまっ――
「……全く、何を言い出すかと思ったら」
「……太一さん……? ……わっ」
すると、少しあきれたようにほほ笑み、わたしの髪をくしゃくしゃとなでる太一さん。そして――
「迷惑なわけないでしょ。僕のために琴弥がこうして来てくれたこと、本当に嬉しい。だから、本当にありがとう、琴弥」
「……太一、さん……」
そう、満面の笑顔で感しゃを伝えてくれます。そんな太一さんの様子に、わたしはほっと安どの息をもらします。……そう、ですよね。そうです、なにも心配なんていらないのです。だって、太一さんとわたしは――
「……そう言えば、定期を届けてくれたお礼をしなきゃね。今日は、どこか食べに行こうか。琴弥の大好きなものを」
「えっ!? ほんとですか!?」
すると、なんともみりょく的な提案をしてくれる太一さん。ふふっ、これは期待です。わたしのようなしゅく女を、どんなオシャレなお店に連れていってくれるのかたいそう期待です。
――それから、数十分後。
「……これは、どういうことですか」
「あれ、これ好きじゃなかった? 琴弥」
テーブルの前で、にぎったフォークとスプーンをプルプルふるわせてつぶやくわたしです。……いえ、好きです。もちろん、大好きですけども――
「――なんでお子さまランチなのですか!!」
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