わたしの出番です!

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わたしの出番です!

「……あら、あの子ったら定期忘れてるじゃない」  「……ていき?」  リビングのソファーでまったり過ごしていた、ある月曜日の午後のことです。  わたしがおやつを食べ終え、ほどなくしてからポツリとつぶやいたお母さん。ちなみにですが、わたしは本日はお休みです。わたしの学校は、今日はそうりつきねん日という日だからです。  まあ、それはともあれ……ていき、とはいったいなんでしょう? 「ああ、定期券のことよ。お兄ちゃんが学校に行く時、いつも持っていってるの。これがあれば、お金が無くても電車に乗れるから」 「タダで電車に乗れるのですか!?」 「……あー、えっと、タダでっていうかは、先にお金を払ってて……でも、普通に毎日切符を買うより凄く安くて……ああ、ごめん。ややこしいこと言っちゃったね、お母さん」 「……?」  すると、わたしの質問にどうしてか難しい顔をしてあやまるお母さん。いったい、どうしたのでしょう? まあ、それはともあれ今のお話をまとめますと―― 「……それでは、お母さん。そのていきという券がないと、太一(たいち)さんは電車に乗るのにお金を払わなくてはならない、ということですか?」 「うん、そういうこと。琴弥(ことみ)は理解が早くて助かるわ」  そう質問すると、わたしの頭をなでながら笑顔で答えるお母さん。ゆうしゅうな子どもを持って、お母さんは幸せものです。ともあれ、そういうことでしたら―― 「――でしたら、まかせてくださいお母さん! このわたしが、太一さんのきゅうちを救ってみせます!」
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