書き換えられたスケジュール

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 溢れ出す涙と声で、たまっていたものを吐き出せた気がした。そして俺の気持ちの為だけに、被害者になった娘を犯罪者の娘にする訳にはいかないと思った。  携帯電話が鳴っているのに気付き、深呼吸をして応答した。電話を終えると、俺はシートに座り直し自分の両頬を叩き車を出した。  電話は妻がいる病院からだった。妻が意識を取り戻したと。まるで憑き物がおちた気分だった。俺には妻との未来がある。娘の母親と父親としての未来が。娘のためにも俺達は、娘の思い出を、娘が生きていた証を未来に運ばなくちゃいけない。大切に大切に生きようと思った。  病院に着いたら、妻とたくさん娘との思い出を話そう。そして妻の悲しみを半分背負おうと決めた。娘と俺達の未来のために。 〈書き換えられたスケジュール帳〉
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