悪魔の契約とアンコール

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そんなことを悪魔って気にするのか。 そんな些細なこと、と軽んじていたが観客動員数が万を超えてくると些細なことでもなくなっていた。 アンコールしないなんてセコくない? せっかく遠くから来たのになんか損した気分 盛り下がるよね もう行くのやめよっかな スタミナなくね? ロックバンドとしてどうかな? そんな声がSMSに飛び交っている。 テレビ番組に出演しても 「あーた、何でアンコールに応えてあげないの?」「夏バテ気味なの。大丈夫?」 「まだ若いんだし身体鍛えたほうがいいよ」 「お客さんありきなんだからもっとサービスしてあげないと」 2時間瞬間湯沸かし器 文化系ヘタれバンド と散々のレッテルを貼られた。 「音楽の質が落ちるから」 「アンコールの悪しき因習を断ち切りたい」 と言う言い分は通らなかった。 とはいうものの出すシングルやアルバムは売れに売れ、CMソングに採用されたりもした。
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