10年後

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10年後

「あ、どうもご苦労さまです」 澄んだ空にひこうき雲が流れていく。 大地は一面緑に覆われて大地の恵みの恩恵を受けていた。 俺は夏野菜の成長スピードや収穫の楽しさにハマり今や膨大な土地を所有して農業を営んでいた。 「HEROsAWARD受賞おめでとうございます」 「ありがとう、とても光栄ですね」 俺は照れながら鍬を置き冷蔵庫から飲み物を出して取材に来たインタビュアに差し出した。 「アンコールに応えないことで音楽の質を上げ、時間どうりライブやコンサートを終え残業を減らし、作曲でも音楽業界に貢献したと言う事での受賞ですが、今のお気持ちいかがです か?」 「それを初めた当初はたくさんのお叱り、叱咤激励をいただいたものですがこのような賞をいただけてとても光栄に思います」 「悪魔との契約を交わしたと噂されてましたがどうなのでしょうか?」 「そうですね、よくそのように揶揄されましたが実際に悪魔と契約を交わしたと思いますよ。その結果このような賞をいただいたのですから」 俺は冗談めかして言った。インタビュアも釣られて笑顔だ。 「あれからもう10年経ちましたね」 グラスの氷が融けて涼しげに揺れた。 「ああ、10年になりますね」 悪魔と契約を交わしたのは俺なのにバンド仲間は27で亡くなってしまった。
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