天国からの伝書鳩

2/10
前へ
/10ページ
次へ
私の名前は『文奈(あやな)』、本当なら18歳の年齢だけれど、私は1年前の17歳のときに交通事故で命を失った。 天国にいる私には、とても心配なことがある。 それは双子の妹『月奈(つきな)』のことだ。 月奈は私が他界してからとても元気がないように見える。 それは1年前の9月に起きた交通事故のことが原因していると私は感じていた。 月奈と私は高校の女子テニス部に所属していた。 私は高校2年生でレギュラーメンバーに選ばれていて、全国高等学校テニス選手権大会インターハイには団体戦の選手として出場し、全国大会に駒を進めていた。 そして私の高校は準決勝で敗退した。 8月に大会が終わって3年生が引退して、2年生がその後を引き継いで部活は続いていた。 そんな夏休みが終わった9月のある日、いつものように部活を終えて電車通学の月奈と私は自宅に帰るために、高校を出て最寄りの駅に向かって歩いていた。 そんな時私は、 「インターハイにシングルスで全国に行きたいなぁ…」 と言うと月奈が、 「お姉ちゃんなら行けるよ!」 と笑顔で話していた。 月奈は毎日休まず部活に出て練習に励んでいるけれど、月奈には大会で勝とうという気持ちがないように感じていた。 どちらかというと月奈は、テニスが楽しくて毎日部活に出ているような感じだった。 もし月奈が大会で勝とうという気持ちでテニスの練習に取り組んでいたら、私は月奈にかなわないだろうと感じていた。 それは、月奈はサーブ、レシーブ、ストローク、ボレー、スマッシュどれをとってもそつなくこなしているからだ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加