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案内人の女性が、まず案内してくれた場所は、病院の中だった。
そこにはベットの上に寝る私と、ベットの周りに父、母、月奈がいた。
私は天井から家族を見ているような感じで、案内人の女性が、
「文奈さんの姿は、ご家族から見えません。
ご家族に話しかけても、文奈さんの声はご家族に届きません。」
と教えてくれた。
3人とも涙を流していて、特に月奈は私の顔の近くで泣き崩れているような感じだった。
翌日は通夜、さらにその翌日は葬儀が行われた。
私の体は火葬されて骨壺に収められた。
私が死んだことは月奈に相当なショックを与えたようで、この日から月奈の笑顔は消えたようだった。
『この世』で7日間を過ごした私は、渡し船で三途の川を渡ると、『あの世』の入り口に『閻魔大王(えんまだいおう)』がいた。
ここで私の生前の行いが裁かれて私は天国に導かれ、ここからは天使に天高くの場所にある天国に案内された。
私は月奈のことが気がかりで、天国から遠く離れた月奈のことを気にしていた。
月奈は、人が変わったようにテニスの練習に打ち込んでいて、朝早くから自主的に朝練をやって、放課後の練習も1人遅くまで練習に打ち込んでいた。
そんな月奈の姿を見て、母が気にして月奈に、
「あんまり無理して体壊さないでね!」
と言葉をかけていた。
そんな月奈は、母に心配をかけまいとしているようで、
「分かっているよ!」
と答えていた。
しかし月奈は、全てをテニスに捧げるかのように、テニスの練習に打ち込んでいた。
月奈は何故、人が変わったようにテニスに真剣に取り組むようになったのか、私は疑問に思っていた。
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