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「わざわざお越し頂き、感謝の念に堪えません。私は建設大臣を務めます***(発音が非常に困難)と申します」
「タウミエルです。早速ですが大臣さん、何やら大量の労働力が必要だそうですが、その詳細、お聞かせ願いたい」
タウミエルは不敵な笑みを浮かべながら言った。
「我々は星と星を繋ぐ架け橋――【星間橋】の建造を構想しております」
「【星間橋】?」
「具体的に言えば、我々の住むこの【ングエウ】とその衛星【ラエウ】を繋ぎ、【キュゴー(ングエウ星人)】や物の往来を活発化することが目的です。しかし、それを建造するには莫大な代価が必要となるわけです」
(【ングエウ星】から衛星【ラエウ】までの距離はおよそ19万km)
「フフフ、それは壮大な計画ね。工期や人員の見通しはどうなっているの?」
「工期は数百年単位と予想されます。それ故、数百万から数千万単位の人員が必要となってくるでしょう」
「成程。それで、君たちの寿命はどのくらいなの?」
「地域によってばらつきはありますが、平均的に見れば100から150くらいでしょう」
「私の知る人間よりは長生きだねぇ。それでも何世代にもかけて行われる大事業だから、竣工した時点で責任者が君であるとも限らないわけね」
「それは勿論。それ故、長期間に亘って人員の補充が可能な貴殿に依頼を試みた次第です」
「確かに、今の私が堕天使とは言え、高々数百、数千年程度で死ぬほど脆弱ではありませんからね。まあ、私としては報酬がしっかりと貰えれば文句はありませんよ」
「それは心配ご無用。では承諾してくれたと見て早速締結のサインを――」
「あー、そう話を急がないで。話自体は承諾したも同然だけど、一つだけ、私からの質問に答えてくれるかな?」
タウミエルは建設大臣より差し出された契約書はまだ受け取らずに質問する。
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