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「君たちは、どんな神を信仰しているの?」
建設大臣は戸惑いの表情を浮かべた。意図としてタウミエルが堕天使、つまり天使だったことからの好奇心から来ているのかもしれない。
「我々は【規律と道徳】を信じております。即ち、我々を導く唯一の神に他ならない。無論、此度の【星間橋】の建造も神の思召しと言っても過言ではありません」
「【規律と道徳】ですか。随分と観念的なものを信仰しているんですね」
タウミエルは皮肉交じりに言った。
「先に言っておきますが、これは堕天使の戯言と思って聞いて下さい。【規律と道徳】なんて何の役にも立たない。救えないクズを飼い馴らすだけの首枷と同じよ」
「こ、これは聞き捨てならぬ暴論を。我々の神への冒涜ですぞ」
「だから、堕天使の戯言だって言っているじゃない。そういきり立たないでくれませんかね」
そもそも神に背いた堕天使に向かって「神への冒涜」と口走るのは何とも滑稽な話である。
思わず熱くなってしまった建設大臣ははっと我に返り、軽く咳払いをして「失礼した」と一言謝罪した。
「でもまあ、この件に関して承諾の意思は変わりません。私にも都合があるので、早く契約を結びましょう」
こうしてタウミエルと建設大臣とで契約書が取り交わされ、今ここに【星間橋】の建造計画が始動した。
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