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「ちなみにさ、誰が王子様だと思うの」
「そりゃあレナイアだよ」
「あー、なるほどね」
そうだろうなと思っていた。レナイアは金髪碧眼、隣国ローアンダーからの留学生だった。
公爵家ということになっているが、王族の可能性は十二分にありえるほど、神々しい光を放っている。所作も話し方も優雅で趣き深い。ロイから見ても、ほぼ間違いなく王族だった。
「学年が一つ下じゃなかったら、会った瞬間レナイア様って呼んでただろうな」
「同級生だったらってこと?」
「そう」
出会って早々呼び捨てされていた自分とは大違いだな、とロイは苦笑いする。
「ロイ様、ファビオン様、おはようございます」
噂をすれば何とやらで、優雅な空気をまとったレナイアが近づいてくる。ロイとファビオンに懐いており、ときおり挨拶してくれたり、食堂でランチをともにしたりするほど親交は深まっていた。
「やあ、レナイア。今日もランチを一緒にどうだい?」
王族だと思っているわりには、ファビオンのレナイアに対する応対は気さくで軽やかだった。ロイも見習いたいところだがそうはいかない。何せ眩いほどの神々しさがあるため、目も開けられないのだ。
「お邪魔でなければぜひ」
「邪魔だなんてとんでもない。な、ロイ?」
「あ、ああ。もちろん」
そりゃあ、声も上擦るってもんだ。
そんなロイの心労に気がつく様子もなく、にっこりと微笑むレナイア。同じ男性とは思えない美しさだが、ローアンダーの王子だとすれば、第何王子だろうか。第三王子くらいまでなら面識があるはずだが。
小さく切ったハンバーグを頬張りながら、レナイアの横顔をこっそり盗み見た。見覚えがあるような、ないような……?
「どうかしました?」
レナイアが目を細めながらゆっくりこちらを見てから尋ねる。少し笑っているようにも見えた。
「い、いや、何でもないよ」
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