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「あ、そうだ。レナイアはさ、第一王子誰だと思う?もう学生たちの中にいるらしいんだけど」
レナイアがこの国の第一王子だと思っているわりに、ファビオンはためらいなく尋ねる。彼の度胸は、いずれはこの国を束ねる人間として見習いたいものだとロイは思っていた。
「そうらしいですね……検討もつきませんが」
「俺たちはさ、レナイアが怪しいって話してたんだ」
おい、そこまで暴露するのか!そんなことまで話してしまえるファビオンに、尊敬の念さえ湧いてくる。
「私がですか?」
「そう。違う?」
「もし王子だとしても、うんとは言わないと思いますよ。ですが……違いますね。ロイ様も私が第一王子だとお考えなのですか?」
口元に笑みを浮かべたまま、探るような目つきでロイを見つめる。優しい空気のわりに、妙に絡みつく視線だった。
「アメリオ王国の第一王子かはわからないけど、どこかの国の王族である可能性は高いと思ってるよ」
「なるほど。見た目からでしょうか」
「そうだね。それだけ美しい金髪碧眼は稀だから」
「お褒めの言葉、ありがとうございます」
レナイアは恥ずかしそうに目を伏せた。
「レナイアが違うとなると、さっぱりわかんないな」
ずっと隣にいるんだけどなあ、と思いながらファビオンを見つめる。万が一、億が一もロイとは思っていないようだった。
「見た目にこだわりすぎなんじゃない?金髪碧眼は元々この国には少ないし、第一王子も金髪碧眼とは限らないよ」
「国王も王妃も金髪なのに?」
グサリ。
ファビオンは当たり前の疑問を述べたまでだが、ロイの胸にナイフが突き刺さる。それなんだよなあ、と思うものの実の両親なので、たまたまとしか言いようがない。
側室はいないし、両親は仲がいいので浮気も考えられない。それでも一時は、もらわれてきたのかもしれないと探りを入れたが、証拠は全て実の子だという証明にしかならなかった。
「うん。それはそうなんだけどさ、可能性はゼロじゃないよ」
だって自分がそうだから、ロイは心でそう思いながら、苦笑して答えるだけだった。
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