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彼は物凄く複雑な表情をしていたが“某はそのようなものには縁が無い故に知らん!”と言われてしまった。
そうこうしているうちにようやく開けたところに出て来た。オレ的にはいくつも山みたいなものを越えたような気分でヘトヘトになっていた。
「疾風ー!おかえりー!」
するとこっちに向かって駆け寄ってくる人間がいる。日はすっかり暮れて真っ暗なのでよくわからないが、どうやら女の子の声だ。
「ただいま、あやめ」
「あれ??そいつは誰だ?変な格好して…。もしや他所の“草”か?おとうのところに連れていくの?」
「そうだ。怪しいヤツだからな」
彼らのやりとりを黙って聞いていたけれど、なんか事態が不穏な方向に向かいそうだったので、オレは誤解を解くことにした。
「あ、オレ、青山 駿っていいます、よろしく。高校三年なんで一応受験生なのでなるべく早く家に帰りたいんですけど」
あやめという女の子は眼を丸くしてオレの顔を覗き込んだ。
「疾風……この子、おなごじゃないのか?色も白くてめんこいのに男なのか?たまげたな…」
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