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「重蔵様、怪しげな者が里山に入ってきたので引っ捕らえて連れてきました」
疾風はその場に片立膝でしゃがんだ。
「ほぅ…なんとも奇怪な成りをしておる曲者じゃな。その方、名はなんと申す?」
重蔵と呼ばれたオジサンは見た目は田舎のおじさんだけれども、なんかこう、オーラが凄いというか、威圧感があった。
「えっと…青山 駿です。道に迷ったというか…気が付いたら山?みたいなところにいたというか…」
「そのような戯言を信じろというか?」
疾風は口を挟んだ。
「戯言って言われても…オレは早く帰りたいんです。ラーメン食おうとしていきなり周りが真っ暗になっちゃってこんなところに来ちゃったし…」
オレが必死なのはなんとなく伝わったのだろう。重蔵さんはため息をついた。と、同時にオレの腹の虫がグゥ……と大きめに響いた。ああ、もうホントに意地でもラーメンの丼ぶりを手にしていたらよかった…。
「ふむ……なんとも言い難いが、まだまだおなごのようなこわっぱのようなので、害はないじゃろう…。あやめ!近くにおるのだろう?このこわっぱに飯を食わせてやれ」
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