第一章  邂逅

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第一章  邂逅

 夕暮れのニュータウンを抜けると、景色は驚くほど変わる。普通電車に揺られながら、オレはそんな風景の変化を楽しむこともなく、スマホの画面に夢中になっている。 「なぁ、駿~、な、な、駿~。腹減ったな。途中下車してラーメン食べに行かね?」  部活終わりで亮と偶然校門で会って、今日は珍しく一緒に帰ることにしたけれど、今やってるスマホゲームがイベント真っ最中のため、オレは必死にゲームに勤しんでいたりするのだ。 「ちょ?聞いてる?駿?」 「聞いてるよ。ラーメン屋でしょ?いいよ」 「やったー!!大盛ラーメンにすっかなぁ…いや、ギョーザセットもいいよなぁ…」  亮は本当によく食べる。陸上部でエースなだけあって運動神経抜群で、女子にもとにかくよくモテる。運動オンチのオレとは正反対。趣味だって全然違う。亮は運動一般とスポーツ観戦。オレはゲームやアニメ。そう、完全にオタクそのもの。但し、そんなにディープな美少女系にはハマってはいない。
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