第一章  邂逅

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 そんなオレが何故か亮と一緒にいるのはうちの高校の七不思議だと言われていたりもする。  さかのぼること10年前。小学校の低学年の時にとんでもない暴れん坊のいじめっ子がいた。名前はアツシ。大嫌い過ぎて下の名前しか憶えていないけれど、オレはしょっちゅうこいつに蹴られたり、殴られたりしていじめの被害に遭っていた。実はアツシの被害に遭っていたのはオレだけではなく、当時背がオレよりも低かった亮もアツシにひどい目に遭っていたのだ。 「あらあら、仲いいわねぇ。怪我をしないようにね」  瓶底眼鏡をかけた担任はいったいどこを見て仲良さげに見えたのか?アツシの狼藉を「友達のスキンシップ」と捉えていた。故に救助を期待するのは絶対にムリ。 「おーまーえ!!いい加減にしろーーー!」  そんなある日、アツシがいつものようにオレをぼこぼこに殴っていたとき のこと、彼の背中めがけて飛び蹴りをした勇者がいた。それが“亮”だったのだ。  それを境にオレたちはタッグを組んだ。アツシにいじめられそうになったら一緒になって戦う。オレたちは心のなかで同盟を結んだ。  こうして、オレたちの間に友情も芽生え、同じ中学に進学し、腐れ縁のように高校も同じになって今日に至るのだ。
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