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通学電車の定期券の範囲内で途中下車し、駅前のいかにも美味しそうな電飾の看板の店に二人で入った。カウンターが真っ赤な店は絶対にハズレはない。
入口で食券を買う。高校生の懐事情に優しいお店で本当に助かる。ただし、ここのマスターにはスマホ見ながらラーメン食べてると叱られる。“せっかくの麺がのびちまう!”というこだわりがあるので客にはすぐに食べてもらいたいのだとか。
亮は散々迷った挙句、結局はチャーシュー麺の大盛を選んだ。オレは普通のラーメンにした。
「お前~それっぽっちで足りるの?見た目女子っぽいのにそんなに小食だとさらに女子じゃん!」
亮はからかってくるけれど、華麗にスルーするのがいつものやりとり。
「そういえばさ、お前、進路どうするの?」
店内ではゲームは無理だと諦め、オレは亮の隣に座りながら話しかける。
亮は夏休み合宿以降、色々な大学からスカウトマンらしき人が亮の練習風景を見に来ている。
「さぁね…。特に決めてねーし。でも、勉強苦手だから陸上で推薦っていうのもアリかなぁ…とは思ってるけど、ちょっとつまんねーよね」
「何が?凄くお得じゃん」
「は?どこが?」
亮は疑問符いっぱいの顔でオレに詰め寄ってくる。
「大学行ってまで陸上ってさ…。社会人になってもそうなりそうでつまんねーんだよね」
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