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 次は俺の番なのか……?  父親に買い与えられたマンションの一室で、原北富美男は震えていた。  高校生時代、本巣という男を虐めて死に追いやった事がある。その頃つるんでいた者達が3人、次々に不審な焼死を遂げていた。  原因は不明らしい。何者かがやったという痕跡もない。だが……。  もう勘弁してよ。お願いします……。  そう言って土下座した本巣の姿を思い出す。全裸にして、体のあらゆる所に煙草を押しつけてやった後だ。  奴の復讐をするとしたら、行方不明だという父親くらいだろう。  とはいえ、ここはタワー型マンションの21階。住人か招かれた者しかエントランスを抜けることもできない。現実的に考えれば、ここまでたどり着くのはムリだ。  それでも原北は、得体の知れない不安にさいなまれていた。  消化器をすぐ(そば)に置き、更に大型のサバイバルナイフも持っている。  ふと、その時……。  コンコン……。  ノックの音がした。  「お届け物です」  微かな声がドア越しに聞こえてくる。
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