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私は覚悟を決める為にみだりにニスカリカの頬を触る。暖かい熱をもう一度全身に送り込み、互いの涙腺を縫い留めた。全てを知ろうとするのは止める。無知を正す為に、遍く貴女が笑える様に往くのだ。
手を引いてくれる人はもう居ない。
今度は私が、全部背負う番だから。
「私だって大好きよ、でも、今は……逃げるフリをするわ!」
青色の色鉛筆で最短距離を描いていく。ニスカリカは驚いて私に向かって手を伸ばす。刹那、遂に水槽が完全に崩壊する。私は私が作り出した全員に追いかけられて、それでも確かに幸せだった。自分が選んだ綺麗に囲まれて、求められているなんて、こんな夢みたいな事が起こっていいのか。今まで生きてきたのはこの瞬間の為だと宝箱は靡いている。そして飛び込む。罪を知る為の、最期の大穴に向かって。
「皆、迎えに来て!」
描くのも描かないのも、全て答え合わせした後でだ。独り独りが繋がって二人になって、沢山の綺麗が頭上で飛んでいる。不可視の傷口が繭糸によって縫合されて、瘡蓋は私の最強の武器になった。
落ちていく。全員で。
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