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5 緩慢・描写・私の少女
確かめるのが本当は怖かった。私はあなたが居ないと生きていけない。もし私が求めている答えが返ってこなかったら、私の意味が薄まって簡単に死んでしまう。だから殆どの記憶を失っていたあなたに出会った時に、すぐに全てを教えなかった。それどころかこんな穢い本心を隠しているのが申し訳なくて、近づくのさえ怖がった。あなたがあの時拒否してくれた方が幸せだったのかも知れない。このまま永遠に別離したら、答え合わせもしなくて済んだから。
でも、永遠なんて脳内でも実現出来ないから、何も知らないあなたを見ているのは心が軋んだから、近づいてくれたから、名前をくれたから、大好きだから、記憶を取り戻す手伝いをした。結局私は何がしたかったのだろう。思い出してほしくないのにデートが心地好くて仕方無かった。私は二律背反の犠牲者で、快楽主義者で、ただの弱いニスカリカだった。
「まだ言えてない事ばかりなの。だから、起きてよ」
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