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「かんぱーい!」
大人になってお酒も飲めるようになった。
今日は会社の人に連れられて合コンというものにきている。
人数合わせというやつでべつに男を求めてるわけではないけど。
「……お前っ」
出会いには興味もないしどうやってやり過ごそうかと考えていると、目の前から聞こえた声に顔を上げて息が止まりそうになる。
「……っ、えっと……?」
「いや、一花だよな?」
「……人違いで「いやいや、あんた一花でしょ!」
あたしをこの合コンに連れてきた先輩が否定したあたしをさらに否定して、そして「一花の知り合い?かっこいいねぇ」とロックオンしたのかギラギラした目を哲太に向けている。
「一花は彼氏求めてなくて人数合わせできてもらっただけなので」
スリッと哲太の腕を撫でる。
「気持ち悪ぃ」
バッと先輩の腕を振り払って「俺も人数合わせで別に女欲しいわけじゃないんで他当たってもらえます?」と先輩を一蹴する。
「あたし、トイレ……」
さっき哲太が発した「気持ち悪ぃ」があの時と同じ温度をしていて、いまにも吐き出して仕舞いそうなほどだった。
人前だしどうしたらいいかもわからなくて、とりあえずトイレへ駆け込もうとバタバタと走ってトイレへと向かう。
「あんためっちゃ顔色悪いけど!?」という声が聞こえてきたけど、返事をする余裕などなかった。
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