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「なににそんな怯えてるわけ?」
「……や、あの」
「お前そんなに言葉に詰まるやつだった?」
「そ、それは……!」
あんたのせいだろうが!なんて当時のあたしなら言ってたよねって思う。
哲太に軽蔑されてからというもの、男の人が怖くなった。もしも仲良くなって、また嫌われたらと思うと上手く付き合うことができなかった。
「なあに?」
覗き込んでくる哲太らもう軽蔑の目はしてないのに、どうしても思い出してしまうあの時の目。
「あっ……だって……」と何とか言葉にしようとするけどやっぱり言葉にならかくて呼吸が乱れてしまう。
「え、大丈夫かよ……」
さすがにあたしの呼吸の乱れにただ事じゃないと感じた哲太があたしの背中を摩る。
「なぁ、俺のせい?」
「……え?」
「俺だからこんな風になってるってこと?」
「……わかんな……っ」
あれから哲太とこうやって真正面から話したのはこれが初めてで、でもたしかに男の人と話したからってこうなっていたわけではなくて、自分に根深く残るトラウマが拭えなて困ってしまう。
「ごめん」
あたしの背中をさする哲太から零れた言葉。そしてふぅっと一息つく。
「すぐにわかったよ。あんなのお前の元彼が流した嘘の噂だって」
気まずそうな顔をする哲太は「その後お前に避けられまくってなんも言う機会なかった」ってため息をつく。
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