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「……うそだ」
「こんなん嘘つく必要ないだろ」
「俺の事信じられない?」
「信じられないっていうか、嘘みたいって思っちゃうっていうか……一生哲太には軽蔑されて生きてくんだって思ってたし」
それでいいとさえ途中で思ったりもした。
いまだに哲太に会ったら怖くて震えちゃうくせに、彼の心に軽蔑としてでも深く残れるのなら本望な気さえしていた。
不完全燃焼で終えた恋心は歪んだ愛を育んでしまっていた。
「あと一回でいい。一回だけ俺にチャンスをくれ」
「チャンスって……?」
「お前の話を聞きもしなかった俺にあと一回だけでいいから、それでダメなら諦めるから。また連絡とってもらえると嬉しい」
あと一回……。
あと一回だけじゃあたしは嫌なんだけど、少しでもしがみつきたくて、スマホのメッセージアプリを開く。
「あった、哲太……」
久しぶりにタップする哲太の連絡先。
あたしはあの事があってからすぐにブロックをしてしまったから「また明日!」なんていうスタンプで終わってるトーク画面。
6年振りにブロックを解除するととめどなくなり続けるトークの通知。全部いまブロック解除をした哲太からだった。
〝俺の事怒ってる?ごめん〟からはじまり途中でブロックをされていることに気づいたのか半年に一度くらいの頻度で〝生きてる?〟と送られてきていた。
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