『唐突』

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『唐突』

細く険しい道を 二人で歩いてきた 君はよく愚痴をこぼしたね 「帰りたい」って その度僕は励ました 「頑張ろう」と 僕が挫けそうなときは 誰が励ましてくれるのか 君のことをもう 励ますことはできない 帰ろうとする君を 止めることなんてできない 僕の歩みは止まってしまった 暗く冷たい道を 僕らは歩いてきた 僕はいつも迷っていた 「これで良いのか」って その度自分に言い聞かす 「これで良いんだ」と 僕が凍えそうなときは 誰が温めてくれるのか 僕は僕をもう 慰めることはできない 凍りゆく心を 溶かすことなんてできない 僕の歩みは止まってしまった 不安で楽しい道を 私は歩いてきた 私はたまに気まぐれだった 「帰りたい」って その度あなたは言った 「頑張ろう」と 私がわがままを言っても あなたが聞いてくれた だから私は今 見捨てることができない 死に行くあなたを ただ見守るしかできない あなたは歩みを止めてしまった
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