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「それならあんたの負けね。いっつも長話して、全部売り切ってこないじゃない」
「情報収集に熱心だと褒めてほしいね」
「可愛いお嬢さま相手に、どんな情報を集めてるのかしら?」
星丸はあるお屋敷のお嬢さまと仲良くなり、お茶をいただきながら偉そうに薬の説明をしているのを、私は知っている。
市場について星丸と別れ、野菜を風呂敷の上に並べていると、顔見知りの野菜売りのおばさんが隣に来た。
私の野菜をのぞきこむ。
「おや、立派なタケノコじゃないか。一つ、いや二つ買わせておくれ」
「いつもありがと、おばさん。そのおいしそうな沢庵(たくあん)と交換というのはどう?」
「もちろんだよ。これはよく漬かった自信作だ。おまけしとくからね」
タケノコはすぐに売り切れて、他の野菜や花もすぐになくなった。
客がすこし引いた頃、友達のよねちゃんが歩いて来るのが見えた。
「ここよ、よねちゃん!」
大声で呼びかけると、私に気づいて彼女は小さく手を振った。
一年ほど前に市場で知り合い、同い年なこともあって、すぐに仲良くなった。
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