第2話 『主人公、浦風武士』

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「おはよう、絵美ちゃん……」 「おはよう、舞翔! 昨日は大丈夫だった? て、すごい(くま)だよ」 「あはは、寝不足かなぁ?」  次の日、教室に登校するや否や仲の良い友達、絵美(えみ)に声を掛けられた舞翔は、曖昧に苦笑した。  昼間に寝た所為で夜眠れず、結局夜なべでドローンをいじっていた、などと口が裂けても言えない。 「あ、さてはまた深夜までドローンいじってたんで」 「静かにっ!!」  もはや反射的に、舞翔は絵美の口を塞いでいた。  それからまるでコソ泥のように、周囲をきょろきょろと見回す。  舞翔は目標がいないことを確認すると、ほっとしたように手を放した。 「ぷはっ、ていきなり何するのよ舞翔!」 「浦風くんは来てないよね!?」 「はぁ? 武士? あいつはいつも遅刻ぎりぎりじゃん」  舞翔はそれを聞いて、ほっとしたように大仰に息を吐き出した。  今の話を聞かれていたら、危なかった。  しかし何とか回避できたようである。 「何だよ空宮、お前武士に気でもあるのかぁ?」
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