4人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、一難去ってまた一難。
「ちょっと信二! 何よその言い方!」
絵美は頬を膨らまし、クラスメイトの信二を睨み付けた。
「うるせぇ! 俺は空宮に聞いてんだよ! どうなんだ、空宮!」
「あー」
昨日までの舞翔だったなら、ムキになって「ちがう!」と喧嘩になっていたことだろう。
しかし、前世を思い出した今の舞翔は、昨日よりも少し大人である。
対処に困りながらも、心の中で小学生の男子あるあるだなぁ、相手をするの面倒だなぁ、などと考えていたのが、思い切り表情に出てしまった。
それを見た信二の方が、カっと逆上する。
「へっ、女のくせにバトルドローンなんかやって恥ずかしい奴! お前なんかが日本代表の武士に敵う訳ねぇだろ!」
舞翔は動揺した。
悪口には一切ダメージを受けなかったが、そんなに大声で騒がれては困る。
しかも丁度良く予鈴まで鳴り響いたものだから、舞翔は更に慌てる。
予鈴後はいつ武士が教室に滑り込んで来てもおかしくないのだ。
それなのにこんな騒ぎを起こしていたら、絶対に舞翔がドローンバトラーであることが、武士にバレてしまう。
しかもアニメ的に大騒ぎなどしていたら、モブどころの騒ぎでは無くなってしまうのでは?
「わ、私は!」
舞翔は追い詰められていた。
だからだろう、自分でもびっくりするほどの大声が出て、舞翔は自分で自分に驚いた顔をする。
「もう、バトルドローンはやめたから!」
そうはっきりと告げた、直後だった。
「セーフ!」
武士が本鈴と共に、教室に駆けこんできたのは。
最初のコメントを投稿しよう!