第2話 『主人公、浦風武士』

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 しかし、一難去ってまた一難。 「ちょっと信二! 何よその言い方!」  絵美は頬を膨らまし、クラスメイトの信二を睨み付けた。 「うるせぇ! 俺は空宮に聞いてんだよ! どうなんだ、空宮!」 「あー」  昨日までの舞翔だったなら、ムキになって「ちがう!」と喧嘩になっていたことだろう。  しかし、前世を思い出した今の舞翔は、昨日よりも少し大人である。  対処に困りながらも、心の中で小学生の男子あるあるだなぁ、相手をするの面倒だなぁ、などと考えていたのが、思い切り表情に出てしまった。  それを見た信二の方が、カっと逆上する。 「へっ、女のくせにバトルドローンなんかやって恥ずかしい奴! お前なんかが日本代表の武士に敵う訳ねぇだろ!」  舞翔は動揺した。  悪口には一切ダメージを受けなかったが、そんなに大声で騒がれては困る。  しかも丁度良く予鈴まで鳴り響いたものだから、舞翔は更に慌てる。  予鈴後はいつ武士が教室に滑り込んで来てもおかしくないのだ。  それなのにこんな騒ぎを起こしていたら、絶対に舞翔がドローンバトラーであることが、武士にバレてしまう。  しかもアニメ的に大騒ぎなどしていたら、モブどころの騒ぎでは無くなってしまうのでは? 「わ、私は!」  舞翔は追い詰められていた。  だからだろう、自分でもびっくりするほどの大声が出て、舞翔は自分で自分に驚いた顔をする。 「もう、バトルドローンはやめたから!」  そうはっきりと告げた、直後だった。 「セーフ!」  武士が本鈴と共に、教室に駆けこんできたのは。
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