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「あ、おい待てよ! 逃げるな!」
そもそも舞翔は、前世でも現世でも、こういう男子が苦手である。
今のように絡まれたり、大声を出されたり、馬鹿にされたり。
バトルドローンという男子の領域に、女子が割り込んでいたからだろうか、何かと因縁を付けられることが多かったのだ。
目をギュッと瞑って走り抜ける。
そんな舞翔を止めようと、信二の手が反射的に、舞翔のランドセルに付いていた、防犯ベルを掴んだ。
ぶちりと紐が切れる音と、カシャンと防犯ベルが落ちた音。
しかし舞翔は必死に走っていたため、その事に気付かずに行ってしまった。
そして落ちた防犯ベルを拾ったのは。
「これ、空宮のだよな?」
「げ、武士」
落とした張本人ではなく、横からひょっこり現れた武士だった。
「俺が届けて来るよ、じゃあなー!」
武士はそう言って、爽やかな笑顔を浮かべると、少年の是非を聞くことなく、防犯ベルを持って走り去ってしまった。
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