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そうだ、もしそうなれば、舞翔の知るストーリーとはズレてしまう可能性がある。
そうなってしまったら、大好きなあの名シーンもバトルも、見れなくなってしまうのだ。
だがその中でも、屈指の名バトルである、ソゾンVS武士の初バトルが、今まさに舞翔の目と鼻の先で行われようとしているのである。
見たい。
舞翔の中で、どうしようもない熱が湧き上がる。
「もう何回も見たじゃない! 我慢、我慢!」
でも画面越しだったよね?
耳元で悪魔が囁き出す。
推しをリアタイしたい気持ち、トンカチで心臓を殴打されるくらい、分かるよね?
前世からの推しが、今生で見れる場所に居るんだよ?
画面越しじゃない、アニメの中の絵空事じゃない。
ともすれば、手の届くほどの近い距離、紛れもなく現実で、推しのバトルが見れる。
そんな機会は、一生でもうこの一度しかないのではないか?
世界大会は会場が大きいため、見れたとしてもかなり遠目になってしまうだろう。
それでも会場で観られれば良い方で、途中から会場は日本を離れアメリカ、ロシア、ヨーロッパと海外へ飛び出す。
そうなったらもう、画面越しの中継である。
ぶるぶると握りしめた手を震わせながら、舞翔は目を瞑った。
「っ見たい」
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