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スーパー内にネットをかけて造られた、ベーシックなバトルドローンフィールド。
その周りには、ドローンを破壊され泣いている子供たちが、ちらほら蹲っている。
舞翔は高揚した。
フィールドには、鴉の羽ように青く輝く黒髪を持った主人公、武士が毅然として目の前の人物と対峙している。
意志の強そうな太い眉を、珍しく険しく寄せて、睨んでいる相手。
舞翔は夢の中に居るような気分だった。
何やらふわふわとして、ここが現実では無いように思える。
全身の神経を視力に集中したように、舞翔の脳内はその人だけを映し出す。
額から後ろに撫でつけたラズベリーレッドの髪、一房だけ垂れた前髪、短い眉の下には、きつい印象の切れ長な吊り目がちの瞳、まるで絵画のように整った顔。
ソゾン・アルベスク。
舞翔の唯一にして前世からの推しが今、目の前に、余りにも近くに、そしてアニメの通りに、そこに立っていた。
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