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舞翔は武士が庇ってくれたおかげか、体のどこも痛みはない。
集まって来た野次馬に、武士は「ちょっと転んだだけでーす! けがはないんで大丈夫でーす!」といち早く声をかける。
けれども舞翔は目の前で右手を庇うように垂れ下げる武士に気付いていた。
だから思わずその腕を掴む。
「っつ!」
「痛いんだよね!?」
武士の顔が苦痛に歪む。
同時に、舞翔の顔からいっきに血の気が引いた。
「っごめんなさい」
ひゅっと喉が引き攣った。
怪我をさせてしまった、しかも、腕をだ。
骨折だろうか? 打ち身だろうか?
絶対に痛いに決まっているのに、武士はそれを一切表に出さない。
怪我をさせた舞翔への思いやりなのか、事を大事にしたくないからなのか。
どちらにせよその腕はとても動かせるようには見えない。
すなわち。
「どうしよう、どうしよう私っ」
武士は今、バトルドローンが、出来ない。
「おい、いつまで待たせるつもりだ?」
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