第1話 『烈風飛電バトルドローン』

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 先ほどまでの、小学6年生の空宮舞翔の記憶に、突如として別人の記憶が混ざり合っていく感覚。  舞翔はまるで教科書でも読む様に、その知識を反芻した。  『烈風飛電バトルドローン』、それはで大流行した、ホビーアニメのタイトルである。  当時の小学生のほとんどが観ていた、と言っても過言ではない。  学校では男子も女子も、『バトルドローン』の話で持ちきりだった。  このアニメの大ヒットにより、一玩具(いちおもちゃ)であったバトルドローンは、子供達の間で一躍(いちやく)メジャーとなった。  クリスマスプレゼントに欲しいものランキングでは、5年連続1位に輝いたほどだ。  やがて各地のホビーショップや、ショッピングセンターで大会が開かれるようになると、人気はさらに過熱。  ついには世界にまで流行は波及し、アニメ放映後5年で、バトルドローン世界大会まで開催されるに(いた)る。  舞翔が前世でバトルドローンに出会ったのは、まさにその人気の渦中。  『烈風飛電バトルドローン』は、聖書(バイブル)とも言える作品だった。  アニメのDVDはお小遣いにお年玉、お手伝いを駆使して全巻初版でコンプリート。  クリスマスプレゼントにはバトルドローンをお願いし、ホビー雑誌を見ながら魔改造。  楽しくて楽しくて仕方が無かった。  そんな頃だった、両親が事故で逝去したのは。
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