第6話 『私が、バトルする!』

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 呼び止めておきながらいつまでも黙り込む舞翔にしびれを切らし、ソゾンは再び歩き出すため掴まれた手を振り払おうとした。  けれどもそれは叶わなかった。  更に強い力で腕を掴まれ、ソゾンは僅かに目を見開く。  舞翔は俯いていた。  心なしか呼吸が荒くなって、嫌な汗が滲んでくる。  やるしかない、やるべきだ、やりたい。  そうは思うのに、どうしても踏み出すことが出来ない。  自分なんかが、自分はただのモブなのに。  前世からずっと、そうだったじゃないか。  モブが主人公になれるはずなんか、ないんだ。 「空宮、頼む! 俺の代わりにソゾンと闘ってくれ!」  けれども武士のその言葉が、とうとう舞翔の重い腰を動かした。  “主人公の代わりに”。  そうだ、これは主人公の腕を怪我させた償い。  そしてこのバトルは、あくまで武士の代理!  大義名分が冠された瞬間、舞翔の中で心を締め付けていた(たが)が弾けた。 「っ、私が、バトルする!」
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