4人が本棚に入れています
本棚に追加
けれども、ブームというものは、やがて去っていくものである。
第一回世界大会開催後、バトルドローンの人気は、下火となっていった。
同じく時が過ぎ、前世の舞翔も少女から大人となり、周囲の目や環境から、玩具を手放さざるを得ない状況がやって来る。
お世話になった親戚の家を出て、ドローン操縦士として、大手ゼネコンに就職。
その技術を、インフラ整備の点検等に使うようになった。
朝から晩まで、働き詰めの忙しい日々。
ひとりの家に帰宅して、孤独に食事をしながら見つめるのは、テレビの中の『烈風飛電バトルドローン』。
薄暗い部屋でただひとつ、あの頃のまま、きらきら輝いている世界。
孤独に過ごす日々の中で、『烈風飛電バトルドローン』は希望であり、心のよりどころだった。
(そうだ、そうだった)
舞翔は、全てを思い出した。
就職して一年、滑落事故であっけなく死んでしまった、前世の記憶。
全てが豁然と繋がった瞬間、がばりと起き上がり、思わず天を仰いで叫んでいた。
「私、モブに生まれ変わってる――!?」
最初のコメントを投稿しよう!