第2話 『主人公、浦風武士』

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第2話 『主人公、浦風武士』

「病気じゃないのに」 「いいから今日は休みなさい! 熱はないのね? 軽い熱中症かしら。とにかく今日は、一日ちゃんと寝てなさい! いいわね!?」  三都子は有無も言わさぬ勢いで舞翔をひと睨みした。 「学校にも連絡しなきゃ」  それから慌ただしく部屋を出る。  ひとり残され、強制的にベッドに寝かされた舞翔は、思わず大きな溜息を漏らしていた。 (前世を思い出した、なんて言えないしなぁ)  空調の利いた部屋で、タオルケットを顔まで被る。  そして舞翔は改めて先程思い出した記憶を整理しようと試みた。  前世の記憶では、この世界は大好きだったアニメ、『烈風飛電バトルドローン』の世界そのものだ。  前世の自分は、このアニメが大好きで、ドローンが大好きだった。 (しかも前世も今もソゾンが推しって、魂レベルで好きじゃん)  舞翔は思わず乾いた笑みを浮かべる。 「って、いやいやちょっと待って!」  次の瞬間、舞翔は亀のようにひょっこりと、タオルケットから顔を出した。
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