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「やっと出会えた!」  洸はぎょっとした。確かに聞こえたのに、人の気配はない。横目で声の正体を確認する。  土砂降りの中、いたのは人ではなく火の玉とオーブを足したような、緑色に光る丸くてモヤモヤしたものだった。直径はサッカーボール大くらい。 「ねぇ!無視しないでよ。聞こえているんでしょう?」 「…」洸は聞こえてないフリをした。  疲労のせいで幻覚を見ているのだと、洸は思った。横にいる、得体のしれないモヤモヤが自分の姿を認識し、言葉を発しているなんて一体誰が信じるというのだ。 「ま、いいけどね。最初はみんな気味悪がる。少し前に出会った女性を除いてね。私の姿は、波長の会う人にしか見ることができない。私達、似た者同士ってことね」    緑のモヤモヤはお構いなしに続ける。 「私ね、実は魂なの。雨が降っている間のみ見えるから、雨が止んじゃうとあなたとは話せない。私は常にあなた達の姿を見ることができるんだけどね」 「…何で雨が降っている間だけなの?」  洸は周りに人がいないか確認して、小さい声で言った。 「いい質問ね!それは、雨が魂に色を付けているから」 「バカバカしい。光と色の原理くらい知ってるよ。実態のない魂に色なんてつくはずない」 「この世界には解明されていない謎がいくつもある。最初から決めつけるのは、よくないんじゃない?それに、間もなく雨雲が通り過ぎる。そうすると、私の姿も声もなくなるの」  洸は半信半疑に晴れ間を探すと、魂の言う通りすぐ近くに青空が広がっていた。雨の勢いは弱まりつつあり、それに伴って魂の色は薄く形も小さくなっていく。
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