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洸は最初、あの魂を空想上の友達ではないかと推測した。大地と疎遠になり、寂しさを埋めるためにあの魂を生み出したのではないかと。
しかし、それは洸にとって認めたくないことだ。
名は体を表すというように、大地は運動が得意。クラスで一番足が速く、どの競技でも持ち前のセンスで上達していった。加えて、教育熱心な両親に育てられたため、成績も良いい。
ただ、学業を優先させるため部活を諦めたり、大地から「毎日のように習い事や塾を入れられイヤになる」と愚痴を聞いたりしてから、洸は彼のことを少し気の毒に思っている。
その反対に、自分は何も取り柄がない。両親から水面に光が反射するような、輝かしい人生を歩んでほいと言う意味でつけてくれたのに。
洸は学校の帰り道、あの時と同じバス停に向った。自分にしかない特別なものがあると証明したかったから。天候は小雨。雨さえ降っていれば見えるはずなのだが。
「…いないじゃん」
洸は傘を折りたたんでベンチの端に座る。
錆びてペンキが剥がれた時刻表には減便の告知が貼ってあった。洸が以前住んでいた町よりずいぶん田舎であるものの、元々は工業が盛んな町。全盛期は多くの住民で賑わったことだろう。工場の跡地は更地になったまま。
もしかして、あれは魂ではなく変わりゆく故郷に未練を捨てきれずにいる地縛霊なのでは?と洸は思ったが、確かめようにも肝心の相手がいない。
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