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 魂を待っている間、マスクを取った。温暖化のせいか、夏が終わる気配がない。暑苦しくても人前では必ずマスクを着けている理由は、生まれつきのニキビ肌を隠すため。彼の顔を見て気味悪がる人もいた。両頬を覆うように赤紫色に隆起するニキビを、搔きむしったこともある。爪の間に血がこびりついた。赤色が嫌いになった。だけど大地は違った。「気にすることない」、その言葉が何度も洸を救ってくれた。  転校したばかりで友達がいなかった洸と、初めて仲良くしてくれたのが大地だった。大地との仲を深める中で彼の境遇を知った洸は、彼を自宅へ招きゲームをして遊んだり、食事に誘ったりしていた。恩返しのつもりはなかった。大地が洸を放っておけなかったように、彼もまた困っている人を放っておけなかったから。  辺りはつるべ落としのごとく、太陽が出ていない分暗くなっていた。魂がいないのなら早々に帰えばいいものを、洸は魂が現れるまで待つつもりでいた。  30分から1時間経ったところで、ようやく「あら、来てくれたんだ」とあの時と同じ声がした。隣には茶色いモヤモヤが浮いている。 「けど帰らなくていいの?もう夜だよ」 「え、あっ」  洸は慌てて口元を覆う。見られてしまった―。 「どうしたの?」 「あ…いや…。俺の顔、見てどう思ったのかなって…」  彼は観念したのか魂に素顔を向ける。「気持ち悪い」と言われても平気だ、もう慣れていると強がるも、彼女は大地と似たような返事をした。 「あー、ニキビのことね。私もひどかったなぁ。苦労したでしょ?病院は行った?」 「あ、いや…。いい病院、ここら辺になくて…」
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