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「そっか。まぁ、合う合わないあるからね」 「うん…」  彼女は自分たちを似た者同士と言っていた。彼女も同じ苦しみを持っていたのだろうか。洸は再びマスクを着けた。 「…ところで、この前は緑色だったよね?何で今日は茶色なの?」 「気づいてくれたんだ、嬉しい!けど、理由は私にも分からないの。神様の気分次第ってとこかな」 「何だそれ。そもそも、何で自分を魂だと思うの?霊じゃなくて」 「うーん。肉体はとっくに滅んでいるのに、未だ此岸(しがん)彷徨(さまよ)っている。成仏できずにいる点は一緒だけど、人間の姿をしていないから、が理由かな。大きな括りで言えば、私は霊の仲間なのかもね」 「じゃあ魂って、どういう原理で浮いてるの?」 「そんなこと気にするの、あなたが初めてよ」 「俺たち似たもの同士じゃなかった?」 「あら。私、そんなこと言った?」 「言ったよ。最初に出会った時に」 「なんだ、ちゃんと覚えてくれてる」 「…あのさ。次の雨の日も、このバス停にいる?」 「いるよー。場所移動するの面倒だし」 「移動するのに大した労力使わないんじゃない?それに、さっきまでいなかったから」 「まぁ疲れはしないけどさ。ちなみに、さっきは散歩に出かけてただけ。きっと部活で遅くなるから、来てくれないかもって思ったの」 「だったら、約束してくれる?次会う時も、ここにいるって」 「あなたこそ。雨が降ったらここに来てよね」 「うん」  懐疑的だった部分が信頼へ変化していく。しかし、素直に受け取れず溢れ出た複雑な気持ちもある。肯定される安心感と、自称魂が自分の前に現れた奇妙さ。  勢いを増す雨の中、カーブミラーは洸の姿だけを映していた。
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