154人が本棚に入れています
本棚に追加
相手が四ノ宮さんだということは言えないが、質問の答えに関しては隠すことではないと思ったので、素直に「……うん」と頷いた。
「そうなんだ！ 付き合ってるの？ 片想い？」
「す、少し前から付き合ってて」
「わー！ おめでとー！」
「あ、ありがとう」
何だか少し照れちゃうな。
「相手の人は、男？ 女？」
……ん？
「……えっと。そう聞いてくるってことは、もしかしてそこまで含めてバレてた感じ……？」
「核心はなかったけどね。明里君って、私と惣田ちゃん以外の女子のことはさり気なく避けてるじゃん？」
「え、気付かれてた……？」
「他の子は気付いてないと思う。私、自分で言うのもなんだけど、そういうの鋭いんだ。でもさ、かと言って私と惣田ちゃんのことを恋愛対象として見てる感じではないし。ってことは、もしかしてみたいな」
「そっか」
宇枝さんの言葉からは、冷やかしのようなものは一切感じない。寧ろ、友達のことを純粋に知ろうとしてくれている、そんな彼女の思いやりだと思った。
だから、正直に答えたい。
「えっとね、相手は男の人」
最初のコメントを投稿しよう！