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「おれ、こんなに愛花が好きなのに、グスッ、愛花は、うっうぅ愛花はぁぁぁぁあ!」
「はいはい聞くよ、聞くから話。近所迷惑になるからちょっと静かに泣こうな、よしよし」
俺は泣きじゃくる倖を宥める。
正直今すぐ帰ってゲームの続きをしたい。
だけどここでこいつを捨てて行けるほど薄情者にはなれそうになかった。
愛花とは中学からの知り合いで、同じ高校に進学した。そこで同じクラスになった倖と仲良くなった。
正直、愛花とは本当にただ同じ中学だったという程度の関係だったものの倖が俺に、愛花と同じ中学なら愛花を紹介しろ、と言ってきた。
どうも倖の一目惚れらしい。
どうしろというんだ、と思いながらも適当にお互いにお互いを紹介したら、愛花とも縁ができた。
それ以来よく話すようにはなったけれど、2人の間に俺の存在は邪魔だったんじゃないかと思う。
最初の方こそ、お前もいろよ、という双方の視線があったから傍にいたけれど。
気がつけば、愛花の倖への視線が変わっていた。愛花が倖への好きを自覚してからは大変だった。
「好きすぎてどうしよう、倖くんの顔直視できない!」なんて恋愛相談を、どうして恋愛経験皆無の俺にしてくるのか。
惚気か? 喧嘩売ってんのか? と内心で醜く嫉妬しまくりながらも愛花の話をただ聞いた。
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