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コンラッドは息子を良い指導者に育てるため、兄弟を作ってやりたかったのだろうと思われる。同世代の子供達と接することでリーダーシップと協調性を育てたかったのだろう。実際、人間であっても兄弟がいる子供といない子供では成長の仕方に違いが出るとは言われている。同年代の子供達と遊び、喧嘩し、切磋琢磨することで成長を促したいのはわからないではない。あわよくば、この中から将来有望な子供が現れたなら、息子の補佐にしたいという気持ちもあるのだろう。
が。大人が思うほど、子供達の心理は簡単にいかないものである。
少なからず闇を抱えた子供達が男女いっしょくたにされて、玩具の数も足らないともなれば。そりゃあ、喧嘩にもなろうというものである。
「あのさあ……」
朝葉はとことことジーンのところまで寄っていった。恐らく、彼が唯一冷静であると思われたからだ。
ちなみに、三歳であるせいで思考は回っても口はあまり回らない。どうしても舌足らずな喋り方になってしまうのが歯がゆい。
「ジーン、だっけか。まおうさまのむすこ」
「……サマつけないでいい。何?」
「あたしがトイレいってるあいだに、なんか、たいへんなことになってんだけど。何がおきたかおしえてくんね?」
こそ、と耳打ちすると、彼はため息交じりに教えてくれた。
「トールが車のおもちゃであそんでたら、まえみてなくてうっかりリナにぶつかった。リナがころんでおおなきして、トールはあやまったんだけどエミリーがやってきてトールにキレた。で、トールをつきとばしてトールもころんじゃって、トールもなきだした」
「あー」
「それをみたら、カインが“女だからっておおげさになくのはひきょーだ”と言い出して、リナやほかの子たちが“男のくせになくなんてありえない”って言いだして、男と女にわかれてこんなかんじ」
「……わかりやすいせつめい、どうも」
あのなあ、と朝葉は頭痛を覚える。
なんだろう、まるでネットの炎上でも見ているかのようではないか、と。当人同士で謝って許して終わりになるところを、余計な者たちが茶々を入れたせいでボヤが山火事になってしまいましたみたいな状態である。茶々を入れた連中も、自分は正義を行っていると思っているから始末に負えないパターンだ。
小さな子供であっても、異世界であっても、魔族であってもやることは変わらないのだ。これは本格的に怪我をする前に止めなければいけないだろう。
「なんで、ジーンはとめないんだ。そのようすだと、何がわるいのかわかってんだろ」
朝葉の問いに、むりだ、とジーンは首を横に振った。
「みんなが、なんでケンカになったのかわかるし」
「どういうことだ?」
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