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始まりの記憶と現在
「こ...ここ、だよね...?」
私ー詩深 静(うたみ しず)ーは木の傍でそう呟いた。
「確か、ここに...」
ー5分前の記憶ー
【ねぇ、シビトさんって知ってる?】
【シビトさん...?】
【困ったことあるなら木を見上げてみろってやつ】
【あー、最近噂のやつだね】
【不思議な噂だよね〜遠くから見てもいなかった人が見あげたらいつの間にか目の前の枝に座ってるとかさ〜】
【確かに...】
【ま、そんなもの迷信でしょ】
【そ、そうだね...】
【そーそー、ってやば、遅れるよ!!】
【わっ、ほんとだ!】
パタパタ...
ー今ー
「この木を見あげたら本当にいるの...?」
「...何を1人でブツブツと呟いてるんだ」
「え...?」
「上を見ろ、上を」
私は上を見た。
目の前に居るのは...
黒色の学生服を着た...
首に、縄のかかっている...
「...中学生...?」
「失礼な...これでも大学までは行ってる」
「見た目だけ...」
「はぁ...そんな事より、僕に用があったんじゃないのか」
「え、あ、そ、そうです!あの、困ったことがあったら木を見あげたらいると、だから...」
「...君、バケモノに相当好かれやすいタイプだろ」
「...?」
「まぁ、いいや...しばらくそのまま過ごして見て欲しい、何となく悩みはわかったから...」
「えっ...?」
「じゃ...」
「あ、まっ...」
ガサッ...
「あれ、静?何してんの?」
「あ、乃亜...なんでもないよ」
「そんな木なんて見上げてさ、鳥でもいたの?」
「うん、可愛い鳥がいたの」
「そっか、あ、これから遊びに行こ!」
「えっ?!」
「ゴーゴー!」
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