愛することに疲れたみたい

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 俺は茜と付き合った。すったもんだあったが5年後に結婚した。子供も3人できて、俺もいい父親の時もあった。そうじゃない時もあった。茜だっていい母親だったり、まあそうじゃない時もあったのだろう。  何かしら忘れていることがあるような気持ちになることが時々あった。  30年後にタイムフォンが発明され、一般に広まった時に思い出した。そう俺は茜と結婚するはずじゃなかった。確かクミという子と結婚するはずだった。だけどクミって子が茜と付き合えといった。それで3年後くらいに別れてクミと付き合う、そういう話だった。  あの未来は一体どこへ消えたのだろう。クミさんは誰かと結婚したのだろうか。 「ええ加減にして、パパ。ちょっと落ち着いて」茜がいう。 「俺は落ち着いてるよ、常に」 「若い女のケツばっかり追いかけて、もう腹立つわ」 「そんなんしてないって」 「もう、私電話する。あの日のパパに。もっと私と会う前に、女子の扱いを覚えてもらわんとあかん」  なんか聞いたことのある台詞やな。 「あの日、ホームセンターで未来からの指示でナンパしたみたいなこと言ってなかった?」 「そうやったかな」なんかまずい方向に向かってる気がする。 「しらばっくれてもう、私わかってる。クミやろ。あの日あの子もバイト入ってたもん。園芸コーナーの子。パパはあの日クミにと出会うはずやったのに」  あの日俺は、家のプランターの肥料を買いに行ったような。  茜はタイムフォンで過去の俺に電話した。 「パパ、若い日のパパ」 「はい、どちらさまでしょう」 「パパのせいで私、遊ばれへんかったんやから。3人の子供面倒みなあかんようになったんやから」 「えーっと、間違い電話じゃないですか?」  
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