愛することに疲れたみたい

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 ホームセンターに入り、それらしい人を探した。あの緑のエプロンの人だろうか。心臓がバクバクだ。 「あのすいません」 「はい、いらっしゃいませ」 「茜さんですか」 「私ですか、そうですけど…」彼女が不思議そうな顔をした。 「あの、突然ですけど、ドライブに行きませんか」  彼女が目を見開いて、びっくりする。 「あの、失礼ですが、私、あなたの知り合いですか?」 「いえ、まあ、未来の知り合いだと聞きました」  どういう風に説明したらいいのだろうか。 「未来の…そういうタイプのアレですかね…」  そう言って彼女は俺をじっくり見た。彼女のお眼鏡に叶うのだろうか、ドキドキする。 「未来の友達がちょっと時間がずれたってことね、いいわ、ドライブ行きましょう。あと1時間ぐらい待っててください。仕事が終わるまで」  合格した、すげー、俺。やればできる。  彼女が海か山がいいというので、六甲山に来た。山頂のレストランで早めの夕食をして、テラスに出た。やけにいろんなものがキラキラしている。星も綺麗だし、神戸の夜景もきれいだ。だけれど、彼女の目がキラキラしているような気がするのだ。どういう魔法を使っているのだろう。  彼女が俺の腕をとり、体を密着させる。俺は左腕に全神経を持っていかれる。完全にアレが勃ってしまった。バレませんように。 「夜景も星もきれい」そう言って彼女が俺の顔をのぞき込む。顔が近い。 「ああ、あう、そう…」俺は股間が彼女に当たらないように、必死で腰を引いて顔を近づける。彼女が目を閉じた。ああ…  彼女が俺の腰に腕を回して引き寄せる。そんなことしたらアレが当たっちゃうじゃない。バレちゃうじゃない、カッコ悪いじゃない…  彼女と目が合う。笑顔だ。満面の笑みだ。恥ずかしいさが込み上げた。  そして俺のファーストキスの記念日は、童貞卒業記念日になった。
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