1人が本棚に入れています
本棚に追加
「辞めろと言われても、どうやって辞めたらいいのか」
「退職届を出せ。それだけでいい。辞める権利はお前にはあるのだからな」
「えっ、ええ、退職届をですか!」
「そりゃそうだろ。それ以外にどうやって辞めるんだ。朝、会社に行って、その支社長の机の上に置いておけばいい。届け物を置いとく気持ちでな。いいか、直接渡す必要なんてないからな。そんな奴に」
「でも、そんなことしたら、呼ばれてしまいますけど」
「呼ばれたら、行けばいいだけだ」
「怒鳴られますけど」
「怒鳴らしとけ、暴力は振るわないんだろ」
「はい」
「じゃあ、大丈夫だ。何をい言われても”辞めます”で通せばいい。なにを言われてもな。余計な事は喋るな」
「それで、凌げますか」
「AIロボットにでもなったつもりで行けば大丈夫だ」
「AIロボットですか…」
「ああ、そうだ明日は空いてるか?」
「ちょっと作らなければならない資料がありますけど、夕方からならば大丈夫です」
「辞めるんだから、そんなの作らなくてもいいだろ。日曜だぞ」
「でも、まだ辞めてませんので…」
「まあ、それで気が済むのなら…作ってからにするか」
最初のコメントを投稿しよう!