AIロボット

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 最寄りの駅から会社までは徒歩5分ほど。  間もなく会社に着いてしまう。  また、お腹の調子が悪くなてきた。  取り敢えず、会社に着いたらトイレに行って落ち着こうと思う。  会社に入ると1階のトイレに俺は飛び込んだ。その個室の中で俺は、自分はAIロボットになったと言い聞かせ、3階の自分の席へと向かう。  支社長の出勤は、いつも午前10時である。本当は出社と退職届を同時に叩きつけてやりたいところだけど、そんな度胸は無いので元上司の助言通りに  彼のデスクの上に置くことにする。  出社してから人生で一番長い一時間が経ち、俺は支社長のデスクの上に退職届を置く。お届け物を届けるような気持で。  実際に置いて見れば、思ってた以上に簡単な事だと感じてまう俺がいる。  それから5分も経たずに課長が出勤して来た。  薄気味悪い笑顔を事務の若い女の子に向け挨拶を交わしている。俺との対応とは大違いである。  それを見ながら俺の心臓の鼓動は激しくなって行くが、今の俺はAIロボットである。これは機械音に違いないのだ。俺は自分にそう言い聞かせる。  上司が自分のデスクまで来ると、直ぐに俺の退職届に気付き、不機嫌な顔でその中の確認を始める。  そして、それが俺の物だと気づくと、真っ赤な顔で怒鳴るよに俺を呼びつけて来た。  これは想定内であるのだ、そんなことでAIロボットになった俺はそれに動じる訳にはいかない。  震える足もロボットだからであり、血の気が引くように感じるのもロボット化が進んだからと、俺は自分い言い聞かせる。  上司の前でAIロボットの俺が話せる言葉は、「辞めますの」一言だけ。俺はブツブツとそれを自分に言い聞かせ、元上司から渡されたA4サイズの茶封筒を手に上司の座る横へとゆるりと向かう。ロボットは急げないのだ。
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