被る男

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被る男

清田は瞳を輝かせて熱く語る。 「パンツを盗むのは私利私欲からでなく、純粋に役者として研究するためなんです」 「研究だと!?」 「私は役者を目指しています。いろいろな役をこなすためには、多種多様な人物のパンツを被る必要があります。そうすることで、私はその役になりきれるんです」 「なんだとー!」 「やっと安久代さんに納得してもらえて嬉しいです」 「納得するかー。どんな理由があろうともコインランドリーで男モノのパンツを盗むのは犯罪だ」 「だったら、歩いている人に片っ端から声をかけて『あなたのパンツを被らせてください』と言えば良いんですか?」 「いや、それは無理だろう。盗みとは別の罪になりかねない」 「そうでしょ。だから盗むしかなかったんです」 「まあ、そう言われれば確かにな…」 安久代は清田の話を聞いていると、清田の妖しい説明に不思議な説得力を感じていた。
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