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チャンスを掴む男
清田は心が揺れ始めている安久代の心理を察して、もうひと押しする。
「今後のためにも刑事さんのパンツを被る機会を逃したくないんです」
「まあ、刑事のパンツなんてめったに被るチャンスはないからな」
「そうなんですよ」
「どうするか…」
健全な人にとって、何ら悩む必要性はなかったが…。
「どうかぜひお願いします」
「わかった。そこまで言うなら、他人のパンツを被るのはあと一回だけだぞ。これでもう盗みは止めるんだ」
安久代はベルトを緩めてズボンに手をかけた。清田は立ち上がり、腰を180度曲げて頭を下げる。
「安久代さん、ありがとうございます!」
安久代は深く物事を考えていなかった。取調室の中で清田が彼のパンツを被るということは、自分自身が下半身に何も身に着けていない状態になることに…。
慣れた手つきでズボンとパンツを同時に脱ぎ、まるで自販機で購入した缶コーヒーを渡すかのように自然な流れで清田にパンツを渡す。
ゾワゾワゾワーっ!
清田は安久代が抜いたばかりのヌクヌクなパンツを受け取るとすぐに頭に被り、涙を流して叫んだ。
「おおーっ、キターっ!」
安久代はなぜか仁王立ちして頷きながら清田を恍惚と見ていた。
すると、コンコン。誰かが取調室のドアをノックした。この音に清田も安久代も全く気がついていない。
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